単純ヘルペスウイルスが原因の口唇ヘルペスや性器ヘルペスは
再発を繰り返しやすい、本当にイヤ~な存在です。
治療や予防など、これらのヘルペスと上手に付き合っていくには
原因となるヘルペスウイルスについて、少なからず知っておく必要があります。
私自身、口唇ヘルペスの発症時には藁をも掴む思いで
ヘルペスウイルスについて調べたことがあり
その情報量の多さと専門的な内容に辟易した覚えがあります。
より詳しく専門的に知りたい方には物足りないかも知れませんが
ここでは、8種類あるヘルペスウイルスについて簡単に紹介しつつ
特に悩んでいる方の多い
口唇ヘルペスと性器ヘルペスにスポットを当ててみます。
ヘルペスウイルスの種類
人に感染するヘルペスウイルスは全部で8種類が知られていて
大雑把に表にまとめると、以下にようになります。
種類 | 病気・症状 |
---|---|
単純ヘルペスウイルス1型 | 口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、カポジ水痘様発疹症、角膜ヘルペスなど |
単純ヘルペスウイルス2型 | 性器ヘルペスなど |
水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス | 水ぼうそう、帯状疱疹 |
EB(エプスタイン・バー)ウイルス | 伝染性単核症(キス病) |
サイトメガロウイルス | 肺炎、網膜炎 |
ヒトヘルペスウイルス6 | 突発性発疹、脳炎など |
ヒトヘルペスウイルス7 | 突発性発疹 |
ヒトヘルペスウイルス8 | カポジ肉腫 |
やはり、見慣れない専門用語が多いですし
病気・症状の部分は特に不安を感じてしまう部分です
この中で注目すべきは、感染者が飛び抜けて多い
口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルス1型と
性器ヘルペスの原因となる単純ペルペスウイスル2型で
単純ヘルペスウイルス1型は日本人の7割以上の方が感染していますし
単純ヘルペスウイルス2型も1割近くの方が感染しています。
また、その他にも水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスが身近な存在で
水ぼうそうは殆どの方が子供の頃に発症したことがあるでしょうし
体の片側だけに帯(おび)状の発疹が出来る帯状疱疹は日本国内で
年間60万人の方が罹患しています。
単純ヘルペスウイルス1型が原因の病気
さて、前項の一覧表を見ていると気になってしまうのが
単純ヘルペスウイルス1型が原因となる病気の多さです
馴染みのない病名もチラホラありますし
悩んでいる方の多い口唇ヘルペスと原因が同じなだけに
いつかは私も発症してしまうのでは…
と少しばかり不安を感じてしまいますよね?
これらの病気について調べてみると
すでに症状が出たことのある成人や
アトピー性皮膚炎を患っていない方は
過度に心配する必要は無いようです
ですが、角膜ヘルペスには注意が必要で
口唇ヘルペスを頻繁に再発させている方は
特に気を付けた方が良いかもしれません。
ちょっとだけ勉強する内容が増えてしまいますが
これらの病気について簡単にまとめてみます。
ヘルペス性歯肉口内炎
- 生後6ヶ月から3歳くらいまでの乳幼児に多い
- 他者からの接触感染でおこり、初感染の場合が殆ど
- 2~7日程度の潜伏期間
- 口や喉の痛みともに2~5日間発熱が続き高熱になる
- 発熱すると歯茎の腫れや複数の口内炎
- 口唇ヘルペスと同じような症状がでる事もある
- 歯磨きなどの刺激で出血する
- 痛みは1週間、症状は1~2週間続く
私は発症したことがないので想像するしかありませんが
結構凄まじい症状で非常に痛々しいです
症状が重篤化する初感染ではしかたのないことですが
子を持つ親は気が気じゃありませんよね。
身近な方に単純ヘルペスウイルスが感染しないように
身の回りの物を共用するのは避け、唾液や口唇への接触も控えましょう
大人には発症が出ないのがせめてもの救いでしょうか。
カポジ水痘様発疹症
- アトピー性皮膚炎とヘルペスの併発でおこる
- ステロイドを塗ることにより悪化してしまう
- 1ヶ所に集中または広範囲に水疱ができる
- 水ぼうそうと間違えやすい
- かゆみと通常のヘルペスよりも強い痛みがある
- リンパの腫れや発熱を伴う場合もある
アトピー性皮膚炎を患っている方は注意が必要で
多くはアトピー性皮膚炎の激しいかゆみが引き金になります。
かきむしって炎症をおこした皮膚に
ヘルペスウイルスが感染するのが原因ですが
入院が必要になる場合もある非常に厄介な病気です。
こちらも単純ヘルペスウイルスが感染するので
身の回りの物を共用するのは避け
水ぶくれをいじったり掻いりした手はこまめに洗浄しましょう。
角膜ヘルペス
- 適切な治療を行わないと失明することもある
- 症状は目がゴロゴロ、充血、痛み、視力低下など
- 片方の目にしか症状がでない
- 角膜に潰瘍が樹枝状に広がる上皮型と角膜が白く濁る実質型がある
- 実質型は免疫異常を伴っているので治療が厄介
ヘルペス性歯肉口内炎、カポジ水痘様発疹症の両者は
発症にある程度の条件がありましたが
角膜ヘルペスは三叉神経に潜んだ単純ヘルペスウイルスが抵抗力や
免疫力の低下に乗じて発症し、条件は口唇ヘルペスと同じです
以前は失明の危険性がある病気でしたが、抗ウイルス薬の登場で
失明率はグッと下がったそうです。
私が口唇ヘルペスになった際に一番警戒したのが、この角膜ヘルペスで
口唇から角膜へ接触感染してしまわないかと、かなり心配しました
角膜ヘルペスの自家・自己感染はあまり無いと聞きますが
症状が広がってしまう可能性はゼロではありません。
口唇ヘルペスの患部を触った手で目を擦ったり
洗顔時などに口元から目元に水を運んだり
口元を拭いたタオルで目を拭ったりしない様に注意しましょう。
角膜ヘルペスも口唇ヘルペスと同様に
体の抵抗力や免疫力を落とさないことが予防につながります。
単純ヘルペスウイルス1型・2型の違い
感染者が飛び抜けて多いのが、単純ヘルペスウイルス1型と2型です
両者の違いは主に症状の出る場所で
単純ヘルペス1型は上半身で主に『口唇』『目』『皮膚』
単純ヘルペス2型は下半身で主に『性器』『臀部』
以上の様な特徴があります。
どちらも患部に水疱ができ、再発を繰り返す点は共通していますが
1型は接触や飛沫(くしゃみ・咳で飛び散る唾液や鼻水)で感染し
2型は主に性交渉によって感染します。
1型は性別による違いは見られませんが
2型は女性のほうが感染率が高く
患部と症状には男女で違いが見られ
単純ヘルペス2型が原因の性器ヘルペスは
「Genital Herpes」の頭文字を取り「GH」と呼ばれています。
以前は口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス2型とシンプルに分類できたのですが
オーラルセックス(口による性行為)が一般化したことによって
1型のウイルスが性器ヘルペスを発症させてしまうケースもあり
現在では両者の区別が難しくなっています。
私の場合、口唇ヘルペスから角膜ヘルペス以外にも
口唇ヘルペスから性器ヘルペスへの自家・自己感染を警戒しました
男性の場合は特にですが、トイレの際に
口唇ヘルペスの水疱や傷跡に触れたままの手で用を足すのは
接触感染の危険が伴うので、利用の前後で手洗いは必須となります。
また、性器ヘルペスは利用した便座やタオルなどからも感染します
1型、2型を問わず、口唇ヘルペスや性器ヘルペスを発症している状態では
オーラルセックスを含む性的接触を避けるのは勿論
肌に触れる身のまわりの物は可能な限り共用しない様にしましょう。
まとめ
8種類のヘルペスウイルスのうち、感染者の多い
単純ヘルペスウイルス1型と2型について紹介しましたが
書けば書くほどウイルス感染を防ぐ難しさを痛感します
日本人の7割以上が感染しているのも納得ですね
上半身、下半身の該当箇所に
原因不明の水ぶくれが複数出来たときは
これらを疑ってみましょう。
実際のところ、家族やパートーナーとの生活で
性的接触を含む物理的接触や道具の共用を避けることは
不可能に近いので、感染しない努力よりも
感染しても易々と発症させない免疫力のある体を作るの方が現実的ですね。