ヘルペスの再発に悩まされている方にとって、非常に頼もしい存在といえるのが
予防に効果のあるリジンサプリメントと症状を抑えてくれるヘルペス市販薬です。
私も愛用者の一人ですが、頼りになる反面ちょっとした不満も感じていて
これらには予防やそれ以上症状を悪化させない効果はあっても
既に症状の進んだヘルペスには効果が薄く
口唇ヘルペスや性器ヘルペスで出来てしまった
水疱の治療にはあまり役立ってくれません。
家庭でヘルペスの治療をする上で主力ともいえる
アラセナSやアクチビア軟膏などの抗ウイルス薬には
ヘルペスウイルスの増殖を抑える効果しかありませんし
口唇ヘルペスの治療にしか使用できないのです。
そこで注目したいのが
うがい薬としてしられるイソジンと
傷口の消毒に使われるヨードチンキです
実はこの2つは2007年に薬局で抗ウイルス成分入りの
ヘルペス市販薬が買えるようになる以前
ごく一部の方々の間で裏技的にヘルペスの治療に使われていました。
これらには強力な殺菌・消毒効果があり
細菌だけでなく殆どのウイルスにも効果を発揮してくれます
上手に使えば、病院で処方される抗ウイルス剤よりも
完治までの期間が短く済む場合もあり
直接ヘルペスウイルスに作用し、殺菌・消毒できる点は
ヘルペス市販薬の不足分を補ってくれる存在といえます。
イソジンのヘルペスウイルスへの効果
参照元:イソジン
うがい薬と知られるイソジンですが、この呼び名は商品名で
実際に効果があるのは主成分のポビドンヨードです。
日本人からすると舌をかみそうになる、発音しづらい名称ですが
殺菌力と即効性に優れ、うがい薬以外にも広く活用されている消毒薬です
TVなどで開腹手術の場面を見たことがある方ならご存知かと思いますが
手術前に患部に塗っている赤黒い液体がこのポビドンヨードです。
刺激性が弱く子供から高齢者まで安全に使用できるにもかかわらず
細菌だけでなく真菌類(カビ)やウイルスにも殺菌力を発揮し
口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因となる
単純ヘルペスウイルスにも効果があります
余談ですが、ポビドンヨードはインフルエンザウイルスはもちろん
あのエボラウイルスにも効果を発揮するそうです。
さて、実際にヘルペスの治療に使う場合ですが
有難いことに現在はうがい薬としてだけではなく
液状タイプと軟膏タイプのイソジンが販売されいるので
誰でも簡単に使えるようになっています。
イソジンの商標を継承した塩野義製薬と過去に商標を使用していた
明治からそれぞれ販売されていて、成分的に大きな違いはありません。
塩野義製、明治製どちらの薬にも使用上の注意として
本剤は外用だけに使用し、内服、うがいや
粘膜の殺菌・消毒には使用しないで下さいと記載があります。
前述の通り主成分のポビドンヨードは刺激性が弱いので
皮膚に近い部分なら、特に問題は無さそうですが
性器ヘルペスによる水疱の殺菌・消毒で粘膜部分に直接使用したい場合は
自己責任ということになるでしょうか
因みにポビドンヨードは分娩時にも使われているそうです。
ヨードチンキのヘルペスウイルスへの効果
参照元:小堺製薬
消毒薬として知られるヨードチンキも
ヘルペスウイルスの殺菌・消毒に効果があり
ヨウ素を利用している点はポビドンヨードと同じです。
一昔前なら、とりあえずこれを塗っておけば治る!!といった感じで
口唇ヘルペスに使っている方もいましたが
ポビドンヨードと比べると皮膚刺激作用が強く
局所刺激作用のあるヨードチンキには
目の周り、口唇等の粘膜の部分には使用しないでくださいと注意書きがされています。
現在では、ヨードチンキよりも刺激性の弱いポビドンヨードの方が多用されていますし
消毒薬としてもマキロンに代表される、無色で傷にしみない
塩化ベンザルコニウム系に主役の座を奪われているので
家庭内など、一般利用の範囲でヨードチンキは役割を終えた印象があります。
噛み砕いて言えば、ヨードチンキはヘルペスウイルスを殺菌・消毒できるけど
傷にしみるし粘膜に使うとさらに刺激があるよ、といった感じでしょうか
イソジンなどのポビドンヨードがある現在では
あえてヨードチンキを選択する理由は無いと思います。
イソジンの副作用
即効性の殺菌・消毒効果を持ちながらも、刺激性が弱く安全性が高い
至れり尽くせりなイソジン(ポビドンヨード)なのですが
実は成分中のヨウ素には副作用があり
うがい薬として使用した場合に口の粘膜からヨウ素が吸収され
イソジンを頻繁に使用すると甲状腺の機能に悪影響が出ます。
甲状腺の機能が衰えると代謝が落ち
倦怠感・食欲不振・便秘・白髪や抜け毛の増加・筋力の低下・体重の増加など
様々な症状を引き起こしますが
これは一日3回のイソジンうがいを長期間続けている場合のケースで
頻繁に使用しない限りは深刻な問題は起こりません
消毒薬として低頻度で使用している場合なら危険性はさらに低くなります。
イソジンを治療に使うポイント
口唇ヘルペスや性器ヘルペスの治療にイソジン(ポビドンヨード)が
効果的なことがわかりましたが、具体的にどう治療に役立てればよいのでしょうか?
塩野義製薬や明治から発売されているきず薬のポビドンヨードには
液体タイプと軟膏タイプがあり、状況によって使い分けが出来そうです。
水疱などのヘルペス特有の症状が出てしまった場合
通常は出来るだけ早くアラセナSやアクチビア軟膏などのヘルペス市販薬を使い
症状の悪化を最小限に留めるようにします。
ウイルスを殺菌・消毒は出来ないものの、これらのヘルペス市販薬には
ウイルスの増殖を抑える効果があるので
しばらくすると水疱が出来なくなり症状は安定しますが
この水疱には増殖したヘルペスウイルスが大量に含まれています。
ポビドンヨードの殺菌・消毒効果を活かすなら、このタイミングで使うのも手ですが
水疱が破れた時に、消毒薬として使うのが一番効果が見込めそうです
また、患部をしっかりと殺菌・消毒する事でヘルペスウイルスが
他の粘膜部分に自己感染するのを防ぐ事も出来ます。
ポビドンヨードはヨウ素の酸化作用を利用して殺菌・消毒しているので
薬を塗ってから1分までが最も高い効果を発揮します
無色透明なマキロンと異なり、塗ると茶褐色になりますが
効力に合わせて徐々に薄くなっていき、塗り直しのタイミングや
塗り残しを確認できる利点があります。
ヘルペス市販薬を使わずに最初から患部に軟膏タイプのイソジンを使っても
ある程度の効果は見込めるので治療をシンプルに済ませたいなら軟膏タイプ
ヘルペス市販薬と併用し、消毒薬として活用したいなら液状タイプが良いでしょう。
まとめ
薬局で普通に買えるイソジンですが
主成分のポビドンヨードはヘルペスウイルスを殺菌・消毒可能です
ウイルスの増殖を抑えるヘルペス市販薬と併用すれば治療の幅が広がりますし
単独での使用よりも治癒までの期間が短くなる場合もあります。
また、ポビドンヨードは真菌類(カビ)にも効果があるので
口唇ヘルペスと誤診しやすい口角炎の治療にも役立ち
どちらであっても治療の手助けになってくれる頼れる存在です。
最後にちょっとした余談になりますが
ヘルペスによる水疱は治癒する際に瘡蓋(かさぶた)になり
治癒後も跡が残りやすくなります
瘡蓋を作らない湿潤療法(モイストヒーリング)なら避けられますが
湿潤療法は自分の細胞をも破壊してしまう消毒薬が御法度で
水で洗い流すだけでは、ウイルスが残る可能性のあるヘルペスには使いづらい療法です。
ところが、ポビドンヨードでの消毒は傷の自然治癒の妨げにならないそうで
ヘルペスの傷跡治療に市販のキズパワーパッドと併用可能かも知れません。
過去に丸いスポットタイプのキズパワーパッドを
水疱が破れた後の口唇ヘルペス治療に使った事がありますが
ビックリするほど綺麗に傷が塞がり
丸5日間キズパワーパッドで覆われた患部にも
新たな水疱の発生はありませんでした。
私の場合は患部が唇よりも肌寄りだったので
しっかりとキズパワーパッドが貼れましたが
通常の肌よりも唇などの粘膜に近い部分のほうが
短期間で剥がれやすいので注意しましょう。