ヘルペスに傷薬は効果なし?細菌とウイルスの違いについて

オロナイン
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ヘルペス

私がまだ口唇ヘルペスという病名すら知らなかった頃の話ですが

傷の治療に家庭によくある普通の外傷薬を

当り前の様に使っていました。

今でこそ、それが大きな間違いであることは知っていますが

当時はなかなか治らない吹き出物だなぁ~と思いながらも

何の疑問も持たず、愚直に使い続けていた記憶があります。

塗り薬として知名度の高い『オロナイン』や『メンソレータム』は

どこの家庭にも一つくらいは常備されていますし

安全性も高く非常に使い勝手の良い薬です

ですが残念な事にこれらの外傷薬は一般細菌に対しての

殺菌・消毒効果はあっても、単純ヘルペスウイルスが原因となる

口唇ヘルペスや性器ヘルペスには全く効果が無いのです。

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ウイルスと細菌の違いと特徴

顕微鏡

予備知識としてウイルスと細菌の違いや

特徴について触れておきますが

ちょっとだけ小難しい内容なので

面倒な方は項末まで読み飛ばしても構いません。

ウイルスも細菌も人間に感染して

何らかの悪影響を及ぼす点で似た存在に思えますが

細菌は感染した対象からの栄養を糧に自らの細胞で増殖し

条件さえ整っていれば対象が生物以外でも増殖できます。

一方ウイルスは自らの細胞を持たず

生きた細胞に取り付き、それを利用する事で増殖します。

また、細菌には一部の耐性菌を除いて抗生物質が効きますが

ウイルスには栄養を糧に成長や増殖をする機能がない為

抗生物質が全く効きません。

ウイルスは細菌のように自らの細胞を持っておらず

核酸(DNA・RNA)とそれを覆うカプシドと呼ばれる

タンパク質で構成され、これらを一纏めにして

ヌクレオカプシドと呼びます。

さらに、ウイルスには大きく分けて2種類があり

このヌクレオカプシドがエンベロープと呼ばれる

タンパク質で出来た脂溶性の膜で覆われたものと

そうでないものに分けられます

落花生で例えると乳白色のピーナッツ本体が核酸

茶色い薄皮がカプシド、薄皮付きのピーナッツがヌクレオカプシド

ゴツゴツした殻の部分がエンベロープといった感じになるでしょうか。

口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスは

このエンベロープを持つウイルスの仲間で

インフルエンザウイルスやHIVウイルスも同様です。

エンベロープは偽装や宿主細胞に取り付く際に重要な役割を果たし

エンベローブを持たないウイルスよりも高い感染力を持っています

ですが、この部分が弱点とも言え

一度エンベローブが失わてしまうと途端に感染力が衰え

単純ヘルペスウイルスやインフルエンザウイルスを

殺菌・消毒するという事はエンベローブを破壊する事を意味します。

説明が長くなりましたが、ヘルペス対策としての予備知識なら

単純ヘルペスウイルスはエンベロープという膜に覆われていて

このエンベローブが破壊されると感染力が極端に低下する。

この1点だけを覚えておけば十分だと思います。

ヘルペスに『オロナイン』『メンソレータム』が効かない理由

メンソレータム

家庭の常備薬としてオロナインやメンソレータムは

外傷薬の定番中の定番ですが、残念な事にこれらの薬は

口唇ヘルペスや性器ヘルペスで出来る水疱(すいほう)には効果がなく

使い続けても完治までの期間は自然治癒と大差がありません。

消毒薬に対する抵抗性は ウイルス>真菌(カビ)>細菌 の順に強いとされ

上記の外傷薬は一般細菌にしか効果がありません。

消毒・殺菌効果を謳う薬品には

高水準消毒薬・中水準消毒薬・低水準消毒薬の3種類があり

ウイルスの殺菌・消毒に効果があるのは中水準消毒液からです

効果が高いほど毒性も高くなり、安全に使えるオロナインには

低水準消毒薬のクロルヘキシジングルコン酸塩液が含まれています。

またメンソレータムやメンタームは消毒・殺菌効果のある

天然植物由来のユーカリ油を主成分としており

低水準消毒液よりも更に安全性を重視した成分になっています。

わかり易く言えば、効果よりも安全性を重視している

オロナインやメンソレータムではウイルスを殺菌・消毒できず

前項で説明したウイルスのエンベローブを破壊する事が出来ないのです。

因みに消毒液として使われるオキシドール(過酸化水素水)は

毒性の低い低水準消毒液に属しウイルスに効果は薄いのですが

希釈されていない原液は例外で眼科や歯科用の器材に付着した

単純ヘルペスウイルスの消毒に用いられているそうです。

意外!?ヘルペス治療にはイソジンが効く

イソジン・ポビドンヨードの外傷薬

参照元:イソジン

現在、ヘルペス再発時に使用する目的で

幾つかのヘルペス用市販薬が販売されています。

どれが一番効く?『ヘルペス市販薬』5種類の違いと選び方
アクチビア軟膏・アラセナS・ヘルペエース・ヘルペシアクリームなど各種ヘルペス市販薬の違いと選び方について解説しています また、第一類医薬品となるヘルペス市販薬の買い方についても紹介しています。

これらのヘルペス用市販薬はウイルスの増殖を抑制する効果があり

違和感を感じてからの予防や初期の治療には役立つのですが

ヘルペスウイルスを殺菌・消毒する様な成分は含まれおらず

用途も口唇ヘルペスに限定されています。

アラセナSやアクチビア軟膏に代表される市販薬は

予防やそれ以上症状を悪化させない用途に特化していて

まとまった数の水疱ができ、それらが破れた後などの

目に見えて症状が進行してしまった場合では

あまり効果を発揮できないことが多いです。

そこで注目したいのが、うがい薬として知られるイソジンで

イソジンの主成分となるポビドンヨードは

ウイルスに対して殺菌・消毒効果のある中水準消毒液に属しています。

うがい薬を外傷薬として使うの?と訝しく思うかも知れませんが

現在ではイソジンブランドを継承した塩野義製薬から

外傷薬のイソジンが販売されいますし

過去にイソジンブランドを扱っていた明治も

同様の製品を販売しています。

イソジンの主成分となるポビドンヨードにはヨウ素が含まれ

このヨウ素が水と反応することで高い殺菌効果を発揮します

外傷薬として知られるヨードチンキにもヨウ素が含まれていますが

ポビドンヨードの方が皮膚刺激作用が低く

ヘルペス由来の水疱が出来やすい粘膜部分に比較的安全に使えます。

イソジンに含まれるポビドンヨードや外傷薬のヨードチンキでは

ヘルペスウイルスの増殖を抑制する事は出来ませんが

口唇ヘルペスや性器ヘルペスの水疱の治療に効果があり

ヘルペスウイルスを直接殺菌・消毒できる為

病院で処方される抗ウイルス薬よりも完治までの

期間が短く済む場合もあるそうです。

まとめ

安全性を重視したオロナインやメンソレータムなどの外傷薬では

単純ヘルペスウイルスを殺菌・消毒する事が出来ません。

ですが、薬局で普通に販売されているイソジンに効果が期待でき

主成分となるポビドンヨードが単純ヘルペスウイルスの

エンベローブを破壊してウイルスを殺菌・消毒してくれます。

ヘルペスウイルスをしっかりと殺菌・消毒する事は

他者への感染や自己・自家感染の予防にも役立ち

リジンサプリメント・ヘルペス市販薬・イソジン(ポビドンヨード)

はヘルペス三種の神器と呼べるかも知れませんね。

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